Now or Never

今でしょ!

ビートルズ初期傑作集 The Early Beatles (US)

ビートルズのアルバム紹介第四弾。

1stアルバムおよびその関連アルバムのシリーズがまだ続きます。

本丸の国内盤にはまだ届いていません^^;

そして、今回紹介するのはまたも米国盤。

ビートルズ初期のアルバムのバリエーションは、当時米・日が好き勝手?なことをやってくれたため、ネタに尽きません。

これまでご紹介した通り、当初大手レーベルのキャピトル・レコードはビートルズに全く興味を示さず、米国における1stアルバムの販売権はヴィージェイ・レコードが獲得。

そして発売されたレコードが"Introducing... The Beatles"でした。

ところが、ビートルズ旋風がアメリカにも押し寄せて、いよいよキャピトルが乗り出します。

1964年1月にキャピトルから"Meet The Beatles"発売。

2月には4人がアメリカに初上陸し、人気テレビ番組のエド・サリヴァン・ショーへの出演などもあって、同年いよいよアメリカでビートルズが大ブレークします。

こうなると、キャピトルは、当初ヴィージェイの手に渡った初期のアルバムも自分たちのものにしたくなったのでしょう。

翌1965年、ビートルズとヴィージェイ間の契約満了を契機に販売権を買い取って、装丁を変えた1stアルバムもどきをリリースしました。

その名も、、、

The Early Beatles (US) [1965.03.22]

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誇らしげな"NOW ON CAPITOL"

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どこかで見たようなジャケですが、それもそのはず、"Beatles For Sale"(邦題"ビートルズ '65")の裏面フォトをいただきでやんす。

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"Introducing... The Beatles"には12曲が収録されていましたが、バージョン1と2で2曲を入れ替えているので、延べ14の収録曲がありました。

キャピトルは、この中から、アルバム"Meet"と被る"I Saw Her Standing There"と、その他2曲を落として全11曲としました。

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ちなみに、、、

ヴィージェイのアルバムに収録されていた"I Saw Her Standing There"が、何故キャピトルの"Meet"にも収録できたのか、大きな謎であります。

もしかしてだけど~♪ ヴィージェイが出だしのポールの"1,2,3,4!"のカウントを、誤って"1"から"3"までカットしちゃったもんだから、怒ったEMIがキャピトルに

「ヴィージェイには目をつぶらせるから、この曲のちゃんとしたヤツをお宅のレコードに入れて出してくれないか」

と持ちかけたんでは?なんて勝手に想像しています。

以上、何の根拠もない与太話でした^^;

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※右の矢印に記載したのは編集元となる英国盤(全曲"Please Please Me"より)

A1. Love Me Do ←Please Please me
A2. Twist And Shout ←Please Please me
A3. Anna (Go To Him) ←Please Please me
A4. Chains ←Please Please me
A5. Boys ←Please Please me
A6. Ask Me Why ←Please Please me

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B1. Please Please Me ←Please Please me
B2. P.S. I Love You ←Please Please me
B3. Baby It’s You ←Please Please me
B4. A Taste Of Honey ←Please Please me
B5. Do You Want To Know A Secret ←Please Please me

あー、これこれ↑、この曲順なんです。

今でもここらの曲を聴いていると、1曲終わると、この順に従って次の曲のイントロが脳内で流れてきます^^;

◇リリース : 1965.03.22
◇カタログナンバー : T-2309
◇モノラル/ステレオ : モノラル
◇レーベル : レインボウ・キャピタル
◇トレイル・オフ・エリア情報
 ・マトリクス : T-1-2309-P7(手書きで#3) / T-2-2309-F1(手書きで#2)
 ・プレス工場を表す記号がスペースインベーダーのシェルター型^^;(スクラントン工場)

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◇ジャケット
 ・A式表張り
 ・裏面右下 印刷会社を表す番号が"3"
◇インナースリーブ : カンパニースリーブ(黄)

"Introducing... The Beatles"から落とした2曲は"There's A Place"と"Misery"でした。

本アルバムが発売されて、"Introducing... The Beatles"は廃盤となったので、その後米国では1980年にアルバム未収録曲を集めた"Rarities"が出るまで、この2曲を聴けなくなってしまいました。

それは米国盤でアルバムを集めた私にとっても同様で、以来"There's A Place"は憧れの曲となったのでした。

その後、いつでも手持ちのレコードでこの曲が聴けるようになったのは、遂に観念して国内盤を購入した高校時代のことです。

えっ?

"Misery"も同じだろうって?

いやあ・・・

"Misery"は当時も今もあんまり気にいらない曲だったりして、、、

個人的に聴けなくてもノープロブレムでした(;^_^A

さて、ここまで紹介してきたアルバムですが、実はこれ、つい最近購入したばかりの米国オリジナル盤です。

では、当時私が手にした現物はと言うと、、、

アーリー・ビートルズ<キャピトル・オリジナル・アルバム> (日) [1970.09.25]

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繰り返しになりますが、ビートルズ初期の頃、日本では東芝音楽工業(東芝音工)から日本独自の企画・編集盤が発売されていました。

ところが、1970年から東芝音工は国内版とは別に米国編集盤を東芝音工ブランドで発売します。

既に国内編集盤を揃えていたビートルズのファンに、解散を機会にもう一枚づつを買わせようという魂胆だったのか。

これは、昨今のリマスター・リミックス・BOXセット乱発商売の先鞭だったのか。

レコード会社というものは、その昔から商魂が逞しかったんですね。

ちょうどこの頃ビートルズを聴き始めた私は、最初に米国輸入盤を購入したこともあって、収録曲が被らないように初期ビートルズのアルバムを米国編集盤で集めるようになったのは以前にも書いた通りです。

迷いなく米国編集盤に走ったのには、他にも理由がありまして、、、

・国内盤がダッサいモノラルだったのに対して、米国盤はカッコいいステレオだったこと。
(音声と演奏がちゃんと分かれて録音されているんだぜ)

・東芝音工から発売されていたので、輸入盤を購入するために都会(笑)に出て行かなくても、地元のレコード屋で購入できること。
(ただし、都会で買う輸入盤は概ね国内盤の10%くらい安かった。でもジャケの端っこがカットされたのもあったりした)

・何てったってアメリカ製、外国製。安っぽくて低品質の"メイド・イン・ジャパン"なんかよりいいに決まってるじゃん!
(実際に買ったのは東芝音工製の方が多かったけど^^;)

冗談ではなく、当時は本気でそう思ってました(;^_^A

まあそんなんで、"Meet"の次に買った初期のアルバムが、地元レコード店で買った東芝音工のこのアルバムでした。

当時レコード店に並んでいた"アビー・ロード"や"レット・イット・ビー"同様に、東芝音工発売のこのアルバムには丸いリンゴをかたどった帯(通称「瓢箪帯」または「丸帯」)が付いていて、帯には"ビートルズ初期傑作集"のキャッチが。

"ヘイ・ジュード"の瓢箪帯

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「何でこのアルバムの帯を写さないんだ」って?

当時、ジャケットの一部を大きく隠してしまう帯は、自分にとって忌々しいだけで何の価値も感じられず、家に帰るとすぐに破り捨てていました。

もちろん、このアルバムも。

ふうっ。。。

まさかまさか、古い国内盤レコードの価値を、盤の状態以上に帯の有無が左右することになる時代が来るなんて夢にも思わなかったあの頃・・・

今となって、帯欲しさにわざわざレコードを買い直したりしています。

しかも定価を大きく上回る価格で・・・orz

東芝音工製は、見開きの豪華なジャケットで、中には、1970年当時の小島素治氏によるライナーノーツが印刷されていました。

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日本仕様ですから歌詞カードも当然付属しています。

最初に買った味も素っ気もない輸入盤の"Meet"に比べると、情報いっぱいで満足度がメチャメチャ高くて、それからは極力輸入盤を買うのを止めようと思ったものでした。

ちなみに、東芝音工が発売したこのレコードはステレオ録音ですが(モノ盤は未発売)、A1、B2が擬似ステレオ、その他はリアルステレオとなっています。

右チャンネルは音声、左チャンネルは演奏に分離されていたステレオに萌えていたのは前述の通り。

また、"Please Please Me"で、ジョンが歌詞を間違えてフニャフニャと誤魔化し、後ろのフレーズで照れたのか軽く吹き出して歌っているのは、当時から「これ何だ?」と違和感たっぷりで、私にとってのビートルズ7不思議の一つでした。(まさか本当に歌詞を間違えていたなんて当時思いもしなかった)

モノラル録音は別テイクのため、もしも当時モノラル盤で聴いていたら、この長年に渡って感じた不思議感を味わえなかったところです。

さあ、次回はいよいよ国内編集盤です。