Now or Never

今でしょ!

嗚呼、本因坊戦(後編)

4月7日、本因坊戦を主催している毎日新聞社から、衝撃的な発表がありました。
囲碁界で最も歴史のあるこの棋戦を、来季から大幅に縮小して開催するとのこと。
当時のニュースを検索しても、当の毎日新聞社からのアナウンスが見つかりません。
ここではNHKのサイトを貼り付けておきます。

www3.nhk.or.jp

変更点は以下の通りです。

・挑戦手合いを、現在の1局2日制の七番勝負から1日制の五番勝負に
・挑戦者を決める手合いを、これまでの8名のリーグ戦からトーナメント形式へ
・優勝賞金を、現在の2,800万円から850万円に

優勝賞金による七大タイトルの序列は、これで棋聖戦、名人戦に次ぐ3番目から5番目に陥落することになります。

他社のニュースから伝わってくる毎日新聞社のコメントを見ると、

「本因坊戦の歴史と伝統を守り継続していくには、苦渋の決断をせざるを得なかった」
「元に戻せるなら戻したい」
「戻すべく継続して努力していく」

今の毎日新聞社には、これまでの規模の棋戦を維持するためのお金がないってことです。

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将棋界で、体力に勝る読売新聞社が、1987年に創設した竜王戦で、毎日新聞社の主催する名人戦の優勝賞金を凌駕し、伝統ある名人戦が竜王戦の後塵を拝することになった時とはちょっと事情が違います。

問題を抱えているのは毎日新聞社だけではありません。
インターネットの普及によって、今や新聞社は凋落の一途。
大手メディアはさすがに大きく報じませんが、新聞の発行部数が激減しているのは今や周知の事実。
今のペースで発行部数が減り続ければ、20年後には紙の新聞は消滅するそうです。
実際、我が家も新聞購読をやめてから確か3年は経っています。
価格が高い、情報伝達が遅い、恣意的な報道あり、紙を大量に消費、各家庭に配達するコストが大きい、そこにかかるエネルギー、、、
正直、私には今の時代に照らしていいところが見つけられません。

今回、毎日新聞社が遂にギブアップしましたが、他社だって同じ危機にあるはずです。
もっと言えば、今は藤井聡太七冠の活躍で注目されている将棋界だって、運営資金源の大半は新聞社だと思えるので、他人事ではありません。
今から10年後、どれだけの新聞社が生き延びているのか。
そして、囲碁界や将棋界はどうなっているんでしょうか?

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というわけで、今年の本因坊戦が七番勝負で行われる最後の年となりました。
11連覇中の本因坊文裕に挑戦するのは、一力遼棋聖。
壮絶な七番勝負となったのは、もちろんファンを喜ばせたけれども、ちょっと皮肉な結果とも言える。

www3.nhk.or.jp

もしもこれがどちらかのワンサイドゲームで終わっていれば、「まあ五番勝負でもいいかな」と思えたかも知れないのに・・・

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今日から車椅子と松葉杖の併用になりました。