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【狂犬通信 Vol.153】 生地台場の大砲

生地台場にはカノン砲(長砲身から水平に近い弾道で砲弾を打ち出す大砲)では無く、臼砲(短砲身から45度程度の角度で山なりに砲弾を打ち出す大砲。迫撃砲臼砲の一種)が配置されていた様です。。
レプリカ砲が2門展示されていましたが、これはオランダから輸入された12ドイム・モルチール砲を佐賀藩国産化したものが現存していて、それを元にしたレプリカと思われます。。
解説板を読むと射程の話しか書いてないですが、通常は台場に配備される砲はカノン砲で、水平に近い弾道で高初速で砲弾を打ち出すため、動いている目標に対して見越し射撃(動目標の未来位置に向けて行う射撃)が容易で、対艦戦闘用の特出砲弾(大玉の散弾である葡萄弾とか、鉄玉を2つ鎖で繋いだ鎖弾等)を発射できるため、対艦戦闘に最適な大砲です。
対する臼砲は山なりの弾道のため、動目標に対しての射撃には不向きの大砲です。
臼砲を使用する一番の利点は何かと言うと、高初速のカノン砲では発射できない炸裂弾が使用できる点です。
昔のアメリカアニメで導火線が付いた球形の砲弾が出てきましたが、正にあれです。
カノン砲は砲弾を打ち出すための火薬量が多く、炸裂弾を発射すると、当時の砲弾では強度が足りずに砲身内で自爆してしまいました。
これに対して臼砲は低初速で砲弾を打ち出すため、問題なく炸裂弾を発射できました。
また、当時は着発信管が無く、砲弾の起爆は導火線で行っていましたが、発射の際に砲弾の導火線に点火したら速やかに発射する必要があります。
この点も短砲身の臼砲の場合は有利で、砲弾を大砲に装填してから、導火線に点火できました。
炸裂弾を使って何を射撃したかと言えば、要塞や敵陣地等の頑丈な静止目標です。
静止目標であれば、着弾後に修正射を行っていけば目標に必ず命中しますし、大きな角度落花してくる炸裂弾は建物の屋根を突き破って内部で爆発するため、大きな破壊力を発揮しました。
そんな、対艦砲には向いていない臼砲を生地台場に配置したのは、カノン砲を量産出来なかったため、他より重要度の低い生地台場には、用意できた臼砲で我慢したといった所ではないかと思われます。