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【狂犬通信 Vol.134】蓮上院土塁着弾痕の考察

蓮上院土塁の中程に太平洋戦争中に米軍機が投弾した爆弾の着弾痕が保存されています。
弾痕は直径5~6m位で土塁の頂部からの深さは4m程度でしょうか。
この弾痕はどの程度のサイズの爆弾のものなのか、昔から謎だったので考察してみました。
爆撃が有ったのは1945年8月13日の朝で、小型機2機の攻撃であった旨が解説板に記載されています。
ググると蓮上院の住職が子供の頃に体験したこの攻撃について語っています。
それによると、投下された爆弾は4発で、激しい機銃掃射を伴っていたそうです。
そうすると、攻撃して来た機種は限定され、恐らく戦闘機でしょう。

艦上攻撃機TBDアベンジャーは前方機銃を持っておらず、SB2Cヘルダイバーも前方機銃は2丁のみで、激しい銃撃を浴びせて来たとの証言と合致しない上、攻撃目標は近くの小学校を狙って投下した爆弾が目標を随分と逸れている事からも急降下爆撃機のヘルダイバーは対象から外して良いと思われます。
対戦末期、日本上空に姿を見せた米軍戦闘機は下記の3機種に絞られます。
陸軍のP51Dマスタング、海軍のF6Fヘルキャット、海軍/海兵隊F4Uコルセアです。
このうち、陸軍のマスタングは距離の遠い硫黄島を基地にしており、爆装して日本本土を攻撃するには無理があるので、除外できると思われます。
ここで、日本軍の戦闘記録を調べると、8/13に房総方面でF6Fを撃墜した記録があり、この日の前後にも関東沿岸部でF6Fを撃墜した記録があります。
どうも、米軍は8/13近辺で空母機動部隊を関東沿岸部に近付けて、サーチ&デストロイ作戦を行っていた可能性が高く、その場合、攻撃を行ったのはF6Fヘルキャットで間違いないでしょう。(F4Uの可能性も有りますが、空母に配備されていた数が少ないです)
投下された爆弾は2機で4発である事から、500ポンド爆弾(225kg)×2か、250ポンド爆弾(113kg)×2だと思われますが、500ポンド爆弾の場合、機体が重くなるので低空で日本軍機に襲われた場合に危険なので、250ポンド爆弾×2発を装備したF6Fヘルキャット戦闘機2機による攻撃であったと思われます。
なのでこの弾痕は、250ポンド爆弾のものでしょう。
何で小学校なんか攻撃したのかは謎ですが(夏休み中で良かった)、戦後直ぐに撮影された航空写真を見ると、近辺に大きな建物は小学校だけなので、何か別の施設と誤認したんでしょうね。
しかし、この攻撃で、小学校の若い女性教諭1人と、用務員さん2人が殉職したそうで、終戦迄あと2日での出来事なので、ひたすらこの人達はツイて無かったと思わざるを得ないですな。
米軍の戦闘記録を探せば詳細が解りそうですが、英語の解らない私ではこの程度が限界です。