ほぼほぼ野外活動記

週末の超スローライフを綴ります ポタリング、釣り、キャンプ、ハイキング、散策、外飯、庭呑み・・・

言い得て妙 Something New(US)

ビートルズ本国では3枚目のアルバム「A Hard Day's Night」。
英→日→米盤と紹介してきて、次は何やら怪しげなタイトルになります。

Something New(US)[1964.7.20]

f:id:toei-sportif:20220223105952j:plain新しい何か・・・
実際のところ、これといった趣旨がなく曲が寄せ集められた印象で、アルバム全体として捉えどころがありません。
正に「名は体を表す」アルバムだったりします。

f:id:toei-sportif:20220223110048j:plain映画のサントラ盤が配給元United Artistsからリリースされ、Capitolは同名のアルバムをリリースする権利がありませんでした。
そこで、Capitolはこのような名前でリリースしたのだが、収録曲が謎である。

United Artistsからリリースされた「A Hard Day's Night」収録曲は、一切販売権がないかと思いきや、「A Hard Day's Night」を含む3曲は収録されていないものの、残り5曲は収録されている。

そして、この5曲に加えて、
・英国盤「A Hard Day's Night」のアルバムから3曲
・同日イギリスからリリースされた4曲入りEP盤「Long Tall Sally」から2曲
・ドイツ語で歌われた「抱きしめたい(Komm, Gib Mir Deine Hand)」
の計11曲からなる。

どうですか?
確かに「新しい何か」でしょ(笑)

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f:id:toei-sportif:20220223110637j:plainこの通り、深溝です♪

※右の矢印に記載したのは編集元となる英国盤

A1. I'll Cry Instead                ←A Hard Day's Night
A2. Things We Said Today  ←A Hard Day's Night 
A3. Any Time At All              ←A Hard Day's Night 
A4. When I Get Home          ←A Hard Day's Night
A5. Slow Down                ←Long Tall Sally(4曲入りEP)
A6. Matchbox                 ←Long Tall Sally(4曲入りEP)

f:id:toei-sportif:20220223110716j:plainB1. Tell Me Why                                         ←A Hard Day's Night
B2. And I Love Her                                   ←A Hard Day's Night
B3. I'm Happy Just To Dance With You  ←A Hard Day's Night
B4. If I Fell                                                 ←A Hard Day's Night
B5. Komm, Gib Mir Deine Hand            ←英国盤未収録

ドイツ語の抱きしめたい(B5)は、このアルバムが初収録。
もう少し正確に補足すると、アルバム収録はこれが最初でしたが、「She Loves You」をドイツ語で歌った「Sie Liebt Dich」とカップリングしたシングルが、数ヶ月前に西ドイツとオーストリアで発売されています。

英国では、オリジナルアルバムはおろかシングル、EPにも収録されず、1978年に発売された「Rarities(レアリティーズ)」で初めてカバーされました。
「Rarities」は、その名の通り「珍品集」で、別途紹介する機会があると思います。

ところで、ビートルズが何故ドイツ語で歌ったのか?

ビートルズについては研究?が進んでいて、活動期間中、どこで何があったか、どんな会話が交わされたかまでがあらかた判明していて、こういった記録本が市販されています。

f:id:toei-sportif:20220223110828j:plainトリガーになったのは、ジョージ・マーティンが当時ドイツのレコード会社A&Rの責任者から
「ドイツ語で歌わない限りドイツでビートルズのレコードは絶対に売れない」
と言われたこと。
彼がこれをメンバーに伝えたところ、「全く馬鹿げてる」と笑われたが、ドイツでレコードを売るために必要だと彼らに伝えて説得したそうである。

ところが、会社でドイツ語訳を用意し、ドイツ語のコーチを派遣して、レコーディングの日を迎えたら、彼らはスタジオにやって来なかった。
彼らがジョージ・マーティンとの約束を初めて破った出来事だそうである。

カンカンになって彼らが滞在しているホテルに乗り込んで、怒鳴りながら部屋に入っていくと、ソファーや椅子の陰に隠れた彼らは、

「ごめん、ジョージ、ごめん、ジョージ♪」

とコーラスを始めて、ジョージ・マーティンも思わず笑ってしまったと回想しています。

そして、同行したオットー(ドイツ語のコーチ)には謝らないのか?と迫ると

「ごめん、オットー、ごめん、オットー♪」

こうした何ともお茶目なところが、彼らの魅力の一つなんですね。
結局、彼らは説得されて、ドイツ語で2曲録音したが、外国語の録音はこれが最初で最後となりました。

その後の世界中でのレコードセールスが、「ドイツ語で歌わなければドイツでは売れない」が馬鹿げていたことを証明しています。

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インナースリーブはカンパニースリーブ(青)

f:id:toei-sportif:20220223111059j:plain◇リリース : 1964.7.20
◇カタログナンバー : T-2108
◇モノラル/ステレオ : モノラル
◇レーベル : レインボウ・キャピトル
        深溝
                    B5.の作者名(多分ドイツ語訳した人)が「Nicholas」の誤記あり。
                   東海岸初回プレスの証しで、以降は「Nicolas」に修正されている。

f:id:toei-sportif:20220223111304j:plain◇トレイル・オフ・エリア情報
  [A面]・マトリクス・ナンバー : T1 2108 P3
  [B面]・マトリクス・ナンバー : T2X2108 T6

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このアルバムは、曲が聴きたくて買ったのではなく、後年コレクションのために入手したので、あまり思い入れはありません。

本国でもリリースされていないドイツ語の曲まで入れて曲をかき集めていますが、収録曲は11曲。
アメリカ定番の12曲すら満たしていないのは、印税の支払いを減らすためと、少しでも曲をストックしておいて小出しにして稼ぐCapitolの商魂のなせる技です。

そこまでして仕立てたこのアルバムですが、9週連続でビルボード2位をキープしたものの、ついにトップには立てませんでした。
United Artistsからリリースされた本家「A Hard Day's Night」が、発売後連続14週間ずっと1位を独占していたからです。

元はと言えば、ビートルズアメリカで売れると見抜けなかったCapitolの失策が原因。
ところが、ビートルズの最初のシングル盤のリリースを蹴った張本人のデイブ・デクスター・ジュニアなるプロデューサーが、このアルバムで自身をちゃっかりとクレジットしている(笑)

f:id:toei-sportif:20220223111227j:plainちなみに、このデイブ・デクスター・ジュニアは、坂本九の「上を向いて歩こうSUKIYAKI)」をリリースして全米1位に導いたその人です。

日本人としては、失笑するより感謝した方がいいかも・・・